エビデンスで教育を考えた

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衝動を少しでも減らす方法とは?

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 ADHDに関してちょこちょこ取り上げている当ブログ。過去にはこんなのもあげてました。
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 現在進行形で増えている症状なんで、どうにかできないもんかと思ってはいるわけです。

で、昔パレオさんが「ADHDには運動!」みたいな記事を書いていたんですね。
ADHDの対策って何がベストなの?というメタ分析のお話(ただし薬物治療は除く) | パレオな男

これについて今回は運動ってADHDにどうなの?ってところを深掘りしていきます。

運動といっても個人差あるよね


 で、参考文献をあたってみたんですが、

「どんな運動をどのくらいやればいいの?」

というのがよくわかりませんでした。そんなところで、「有酸素運動とADHDについて」調べた論文がありましたので、こちらを参考にしましょう。

 今回の調査は3〜25歳の579人の参加者を対象とした22件の研究を分析したメタ分析。早速結果なんですが、

全体的には、有酸素運動自体は小さい効果あり。しかし、信頼区間にばらつきも大きく、ものによっては負の効果を報告しているものもある。

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(中程度の効果を報告しているのもあるが、様々)

なぜかと言うと、冒頭に戻るんですが、


「運動」と言うものに種類が多い

同じ運動にも個人差がどうしても出てしまう

からです。調査された論文の中には「エアロバイクで10分から20分の運動には効果がなかった」と言う論文もありました。なんで有酸素運動には改善の効果がありそうなものの、散歩にするかなどはやってみないと分からん!となりそうです。。。

 じゃあ、頭には良いんでない?となってきますが、その結果はこちら。
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(実行機能や記憶について)

こちらも全体的には小さい効果です。1番は記憶力の改善、2番目は更新昨日の改善。(衝動などの)抑制にもやや効果がありそう、、といったところです。
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まとめ
 と言うわけで発達障がいと有酸素運動に関してでした。まあ、やっといて損はなし!ってことで笑。



参考
Non-pharmacological interventions for cognitive difficulties in ADHD: A systematic review and meta-analysis
https://link.springer.com/article/10.1007/s10803-016-2854-x/tables/6


#ADHD #ASD #運動 #有酸素運動 #衝動 #記憶

クリティカルシンキングはあれで高まる。

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 論文系のエントリーが久しぶりになってしまって恐縮です。

 最近頭が衰えてきてるので脳の辺りを調べていたんですが、「脳の実行機能はクリティカルシンキングに効くよ!」という研究があったので久しぶりにテンションが上がっております。

 実行機能とクリティカルシンキングについて軽く復習させてもらうと、脳の実行機能とは、計画や戦略を立てたりする役割を担っています。とても重要な機能です。そして実行機能には大きく分けて

更新、シフト、阻害


という3つありました。
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一方でクリティカルシンキングとは解釈、分析、評価、推論などを統合した判断手法です。これは大人になっても鍛えられるし、ビジネス(特に看護の現場)でも求められるしで何かと重宝される能力でした。
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両者を考えれば、まあ何かしらの関係はありそうではありますが、きちんと調査されていたのがありがたいですね。早速見ていきましょう。

実行機能との関係は?

 調査は239人の大学生が対象で、被験者にはそれぞれ


n-backタスク(ここでは2-back)
クリティカルシンキングテスト
実行機能テスト
信念バイアス
推論テスト


などを受けてもらい、どれがお互いに関係があるのかを見ていったんですね。この研究の面白いところは、さらに脳波まで測定していたところです。

 そこでわかったのが、

・実行機能の力はクリティカルシンキングの20%くらいを説明していた

・この影響はバイアスなどの要因を取り除いても残った

ということ。さらに実行機能を個別に見ると


更新、シフト、阻害のうち、特に更新と阻害がクリティカルシンキングに強く影響していた


とのこと。つまり既存の物事に対して「ちょっと待って、それ本当か?」と問える能力だったり、正しかったものに対しては過去の考えを素直に改められたりすることがポイントとなってきましょう。


まとめ

 というわけで今回はクリティカルシンキングと実行機能の関係でしたー。あんまりクリティカルシンキングの向上とかを取り上げて入れなかったので、個人的には朗報でした。実行機能はそこそこあげれていたので。

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あとは、実行機能の3つの能力の高め方とか、クリティカルシンキングそのもののあげ方を考察していきたいと思います。

健康な人でもワーキングメモリーは鍛えた方がよさげ、というややマニアックな話。

 ワーキングメモリーといえば当ブログでもおなじみの概念でして、頭をよくするために欠かせない記億の1つであります。

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ですが近頃取り上げなかったのには理由もあります。それは「健康な青年なら鍛えてもしょうがないんじゃない?」という批判もあったからなんですね。健康ならトレーニングしても伸びないぞ!という研究もあったりしたんで、ならば先に健康を目指せばいいじゃないと。

 そこら辺は完全に決着、、、してないんですが、そんななかでも「健康な人でもトレーニングでワーキングメモリが伸びるぞ!」というけっこう信頼できるデータが見つかったので久々にやる気が上がっております。

6週間のトレーニングで伸びる!

 等調査は359人の健康な成人(平均30歳)が対象。特に運動障がいや低視力でない人たちをスクリーニングし、ランダムに3つのグループ

ワーキングメモリーのトレーニング群
処理速度のトレーニング群
何もない群

に分けられました。ワーキングメモリーのトレーニング群と処理速度のトレーニング群は、週のうち5日間、1日あたり20〜30分のトレーニングをしたそうです。

 すると6週間後に、ワーキングメモリーのトレーニング群が有意に向上したんですね。


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参考文献より

まとめ

 そんなわけでして健康な人でもどんどんトレーニングをしていただければと。自粛中で散歩なんかはしづらいところでもありましょうから、DNBを習慣に取り入れてみてはいかがでしょうか。私も久々にやっております。(そしてスコアも落ちています。)



参考
Working memory training in healthy young adults: Support for the null from a randomized comparison to active and passive control groups

8週間のアレで頭が良くなる!と言う研究結果。

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その昔、脳の実行機能について書いたことがありましてね。
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ざっくり言うと行動を制御したりする脳の機能なんですが、これが高まると頭が良くなります。一説ではワーキングメモリーよりも知性との相関が見られたり。

https://www.mathlikeb.com/entry/2018/12/25/163000

以前の記事ではこの機能を高めるのに緑茶、くらいしかあげてなかったのが恐縮だったんですが、この度「ヨガがいいよ!」と言う記事を見つけたのでご紹介。

8週間で爆上がり!

 調査はカーナギーメロン大学がおこなったもので、失業中で高ストレスのある人たち35人を対象に行われました。被験者はランダムに半々に分けられて、片方には普通のリラクゼーション、もう片方は

ヴィパッサナー瞑想
歩行瞑想
マインドフルイーティング
ハタヨガ

をおこなったそう。結構がっつり。

 軽く触れておくと、ヴィパッサナーは実況中継とも言われ、座禅しながら「今〜を考えた」みたいに思考を随時拾っていくもの。歩行瞑想も近いのですが、これはゆっくりと歩きながら「今右足が地面に着いた」などと瞑想します。マインドフルイーティングはそれを食事に応用したもので、ハタヨガはあの複雑なポーズをとるやつであります。

 これらを8週間おこなたところ、リラクゼーショングループよりも実行機能が優位に高まっていったんだそうです。

まとめ

 
 と言うわけで今回は瞑想+ヨガで実行機能がアップだ!と言うお話でした。自宅待機時にはかなーりよろしいのではないでしょうか。特に失業中の方も、めげずにやってみることをお勧めします。
 やり方はパレオさんの方が詳しいのでこちらをご参照ください。

瞑想をスタートするために必要なすべての知識をまとめてみたぞ | パレオな男




参考
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5489372/

誰にでもやれる、科学的に推論力を高める方法とは?

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 流体知性というのを取り上げている当ブログ。
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これまでも推論力としてこちらを取り上げていたんですが、最近はこちらがちょっとおざなりでした。あんまり研究されていないようなんですよねぇ。(探していないからかも)

 とは言え、この推論の力を鍛えると数学も伸びるよ!ってことで以前も紹介しておりました。
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個人的にも、「これだけ知識が得られる時代なんだから、差がつくのは推論だよなぁ」と思っております。

 そんな中、「有酸素運動で流体知性が爆上がり!」という研究が出ましたので今回はこちらをご紹介。

有酸素とNバックが効く!

 調査は脳卒中になった52人の患者をランダムに選んで行われました。被験者は4つのグループに分けられ、


中程度の有酸素運動+認知トレーニング
中程度の有酸素+ゲーム
普通の活動+認知トレーニング
普通の活動+ゲーム


という活動を行ってもらったんですね。ちなみに、これらの内訳は


中程度の有酸素運動→Max脈拍数の60~80%でトレッドミル

認知トレーニング→デュアルNバック

活動→マッサージや座り方改善などの半リハビリ


です。これらを1日50~70分で週3回行ったようです。

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一見どれも脳には良さそうなものたちですけれど、結果は

中程度の有酸素運動+認知トレーニングのみが有意に流体知性のスコアが向上したそうです。その値は、なんと5割り増し!
一方で、活動+ゲームは流体知性が減少してしまったんだとか。

 これは中々示唆的でして。まず、以前にトレッドミルの話を書いたんですが、あのときは結果があんまりパッとしなかったんですよね。

その時に足りなかったのは、中程度の負荷という観点だったのかなと。それから、デュアルNバックでも推論が大きく鍛えられるのもよい話。推論トレーニングってあんまりないもんですから。

まとめ

 
 というわけで、「頭が良くなりたいならちょいきつい有酸素運動とデュアルNバックが効くよ!」というお話でした。試験は12週だったんで、なんとか続けたいところですねぇ。まぁどちらも厳しいですが。


参考
https://journals.sagepub.com/doi/full/10.1177/1545968319832605

今週の小ネタ。〜女性の社会進出にはまだ時間がかかるなど〜

 毎回きになるニュースをまとめている当ブログ。

 

 

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 意外に人気なので続けています。今週も3つのことをご紹介。

 

 

 

まだまだ家事は女性の仕事

 
 イギリスで8500組のカップルを調べたところ、93%の女性が家事を多くやっているとのこと。どちらもフルタイムであっても、16%は女性の方が多めにやるそうです。研究者曰く、「まだ男性の方が収入が多いので、家事に対して交渉できるのではないか」とのこと。これが今後どうなっていくかはわかりませんが、女性の社会進出はもう少しかかりそうですねぇ。日本の女性には、なぜか家庭に入りたがる人も多いですが、それは多分法律の問題。
 

ワーキングメモリですらチンパンジーと変わらない?

  我々はチンパンジーと大差がないとは良く言われたものですが、なんとワーキングメモリーも大差がないというのだから驚きが隠せません。

 

https://phys.org/news/2019-07-chimpanzees-memory-similar.amp   

 

 

 チンパンジーが優れたワーキングメモリーを持つことがわかりました。研究者たちはチンパンジーに小さな不透明な箱の中で食べ物を探すことができる課題を提示しました。チンパンジーは最初に食べ物が箱の中に隠されているのを見せてから箱を1つずつ指すという実験をしたそう。するとタイトルのように、人間とほとんど変わらなかったそうな。比較された人間の方は涙目かもしれませんが、ことほど左様に人間とチンパンジーとの差は我々が思っているより小さいのでしょう。 

 

 

 ロックスターなデータサイエンティストになれる13のスキル

 

  ロックスターなデータサイエンティストになれる13のスキルがあるそうです。

 

https://towardsdatascience.com/top-13-skills-to-become-a-rockstar-data-scientist-faf2f97e655d

 

 タイトルに惹かれて読んでみましたが、その内容はRだとかコミュ力だとか「まあいるよな」というものばかり。データサイエンティストをエンジニアと一緒にしてはあれですが、エンジニア界隈では多分プログラミング能力で差がつくわけでなく、営業力とかコミュ力とかの人気で差がつくんですよね。

 

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  その意味ではあまり新しいことが書いてあるわけでもありませんでした。

 

 

 

 

今週の小ネタ。〜手っとり早くお金持ちになる考え方とは?など〜

 最近は悪い意味で仕事がこなれてきたので、けっこう手を抜いていました。サラリーマンの厄介なところは、多少手を抜いても同じだけ給料がもらえるところ。任期付きのポジションにいた頃と違い、ずいぶんとまぁのんびりしてました。 

 

 それはさておき、今回も3つほどどうぞ!

 

心で思っているだけで、現実の見え方が変わってしまう?

 
 ジョージワシントン大学で行われた研究によると
 
でた文字などの色を答えてもらう視覚実験をする。(赤ならピンク、など)
 
その際、事前にある色を頭に考え続けてもらう。(例えば、バラのピンクをイメージしておいて下さい)
 
すると、イメージに近いものほど間違い易くなってしまったそう。(ピンクに近い色をピンクと答えたり、緑(葉っぱの色)をピンクと答えたり)。先入観があると人は簡単にものの見方を変えてしまうのかもしれません。
 
 
 

幸福に関係する因子とは?

 

 この研究はニュージーランドの子供1000人を対象に幸福感を調べたもの。生まれた時点から把握し、なんと32年間追跡した結果模様。そして32歳の幸福と関係する因子を調べたところ、

 

学業と幸福(相関0.12)

 

に対して

 

十代のつながり(0.62)

 

だったんだそうな。これは驚異的です。ちなみにつながりで大切なのは親とのつながりと、意外にも学校。特に何でもいいから部活とかで仲間を作った方が幸せなんだとか。まぁティーンはこの2つ以外のコミュニティが限られる訳ですが、若い頃のつながりは大事ですよね。私も恵まれました。

 
 
 

お金から自由になるには?

 
 ミニマリストしぶさんの「手ぶらで生きる」を読みました。ミニマリズムは禁欲でなく強調なんだ!という主張が新しい知見でした。

 

手ぶらで生きる。見栄と財布を捨てて、自由になる50の方法

手ぶらで生きる。見栄と財布を捨てて、自由になる50の方法

 

 

 人ってとかく収入だけを見てしまいがちなんですけど、会計とかでもよく言われているのが「収入と支出のバランス」なんですよね。だから、手取り1000万でそれをそっくり使ってしまう人より、手取り10万でも6万で暮らしてる人の方がお金持ちです。その考えからすれば、お金持ちになるのに手っ取り早い方法は、支出を減らすことです。しぶさんの生き方からはそのことをひしひしと感じます。
 
 

今週の小ネタ〜IQが下がる性格とは?など〜

 というわけで、小ネタです。気になるネタをピックしています。第一回はこちら

 

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 今週は気になる記事を3つほど。

 

 

神経質な人はIQが下がる?

 

 何かと厄介な神経症傾向ですが、これがIQの低下に繋がるんじゃないかという話なので困ったもんです。
 ただし、これは神経質な人は頭が悪い、という短絡的な話ではなく、神経質になると本来の知能を発揮できない、という話。記事では神経症傾向が改善されるとIQも改善されるという結論になっており、これは頼もしい結果であります。何を隠そう、私も神経症傾向が遺伝子レベルで高いので、努めて改善していく次第でありやす!
 

精神病でワーキングメモリーが低下?

 統合失調症や双極性なんかはかなーり浸透してきました。で、記事ではこの2つはワーキングメモリー低下を引き起こしうるとしていて中々厄介だなと。ただしこれまた精神疾患が改善すれば、ワーキングメモリーも改善しうるという話なので、その辺の懸念があれば、大人しく心療内科に行きましょう。病院代はケチっちゃダメです。

https://medicalxpress.com/news/2019-07-memory-psychotic-disorders.amp

 

 

科学的方法とはなんぞや?

 

 科学的方法とはなんぞや?から実験心理学の研究のステップまで書いてある良記事がありました。

 

 私は理論系出身で、方法とはみたいな訓練は特別受けませんでした。なんとか徒手空拳でこれに似たことをやってましたが、この記事を修士の時に読んどけば笑。

 
 
 
 
 
 

数学に対して不安を持つのはいつから?という研究

 数学不安というのを覚えていますでしょうか。

 

すごくざっくりいうと、「数学に対する拒絶反応のこと」でして、これについてのお話や、その対処法なんて話も書きました。

 

 

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この数学不安は主に中学生のうちには広がり始めて、ほっとくとだんだんと悪化してく様なんです。ですので大切なのは早めに見つけることと、その対処療法。

 

前回の記事では、筆記開示というテクニックを用いたのですが、まあ一時的な対処法なんで、なんとかならんもんかとは考えておりました。

 

今回はその辺をアレが解決してくれかも、という話と、「数学不安はいつから始まるの?」というお話をば。

 

ワーキングメモリーとの関係が!

 

 今回の調査はアメリカのテンプル大学がおこなったもので、人口の多い地区の公立小学校の児童を対象に行われたもの。小学校1、2年生162人を対象に、ワーキングメモリーと数学不安、それから成績を測り

 

どういう順序かというと

読書力テスト

数学テスト

ワーキングメモリーテスト

 

で行いました。

 

 

 その結果は

 

小学校1、2年生でも数学に不安を感じていた!

 

・この数学不安は、家族の収入とは相関がなかった(つまり高収入の家庭でも、子供が数学に拒絶反応を起こすことはありうる)

 

ワーキングメモリーが高い人ほど不安は低い!

 

 

となりました。小学校1年生からでも起こりうるので、ここは新しい発見です。子供の数学に対する反応はつぶさに観察ください。また、やはりですがワーキングメモリーが不安の抑止に効果がありそうです。鍛えておきたいところですね。

 

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  さてここまでなら、「小学校から認知力を鍛えよう」で終わる話なのですが、手放しでワーキングメモリーを褒めるわけには行かないのが面白いところ。というのも

 

・高いワーキングメモリーのスコアを出した子で数学不安を抱えている場合、ワーキングメモリーが低いグループよりも成績が落ち込む。

 

という結果が出てしまいました。この原因が何かはわかっていないのですが、

 

「認知能力が高すぎて、不安に対して色々考えすぎてしまうからじゃないか?」

 

との仮説が立っております。時頭が良いのも困り者です。

 

まとめ

 というわけで、数学不安は小学校に上がった時から意識しましょうというお話でした。どうやって見極めるかも上の記事に書いたので、その質問票でそれとなく子供に質問すると良いかもです。また、ワーキングメモリーも万能ではないので、適時筆記開示のテクニックもお使いくださいませ。

 

 

参考

https://www.tandfonline.com/doi/abs/10.1080/15248372.2012.664593

 

 

 

 

 

頭がいっぱいだと非効率な意思決定をしてしまう、、、かも。

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  「大事な決め事は忙しい時にするな!」

 

とかいうのはよく聞く格言です。

 

忙しい状態というのは人によって違うかもしれません。状況によっても変わってくるかと思います。

 

今回は、この忙しいを

 

「ワーキングメモリーに負荷がかかっている」

 

 とします。ワーキングメモリーはちょこちょこ書いているので、ぜひ過去記事を参照してください。

 

mathlikeb.hatenablog.com

 

 

mathlikeb.hatenablog.com

 

 今回はこれと意思決定のお話。

 

戦略の測定

 

 戦略、というと大げさですが、色々な測定があるようです。今回ご紹介するのは「ブロックの数えかたにおける戦略」をご紹介します。

 

 いま、マス目があります。

 

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このマス目の色が塗られている数を数えてください、と指示します。このとき、あんまり思い思いにやられても実験にならないので、

 

・プラス戦略

ブロックを足して数える

 

・マイナス戦略

黒くないブロックを足して、全体から引く

 

の2つの方法で数えてもらいます。この2つの戦略ですが、色が塗られている数の方が多くなるほどマイナス戦略の方が効率がいいです。これは、塗られていない方が少なくなるので、直感的にも納得がいくのではないかと思います。

 

 この、

「塗られている方が多くなった時に、マイナス戦略に変えよう!」

 

というのが、意思決定になるわけです。

 

 

ワーキングメモリーに負担をかけると?

 

 今回の本題ですが、

「じゃあ、ワーキングメモリーに負荷をかける(=頭をいっぱいいっぱいにさせる)と、この意思決定や戦略にどう影響が出るの?」

 

というのが今回のテーマ。

 

 これはベルギーのルーヴェン大学で行われたもの。各参加者は静かな部屋でテストを受け、コンピューターの画面でブロックを数えます。

すべての参加者は、2つの条件、すなわちWM負荷なしとWM負荷ありの2つの条件下で判断タスクを解決しました。 

 

 この結果、

 

ワーキングメモリーに負荷をかけると、マイナス戦略よりプラス戦略の方を選ぶようになった

 

とのこと。これが何を意味するかというと

 

「ワーキングメモリーが酷使されると効率的ではない戦略を選んでしまうかも」

 

ということになります。「めんどいけど、一個ずつ数えていけばいいやー」と投げやりになるんですね。

 

まとめ

 

 というわけで、「頭がいっぱいだと、知らず知らずに非効率なことをしてるかもよ」

というお話でした。ワーキングメモリーを鍛えたり、適度に休んでいきたいですね。

 

今回は長くなってしまいました。最後まで読んでいただきありがとうございました。

 

 

参考

https://www.researchgate.net/publication/259028920_The_role_of_working_memory_in_the_use_of_numerosity_judgment_strategies