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ADHDとそうでない人では問題の間違え方が違う、という研究

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 地味にADHD傾向が高いわたくしmath-like。コーヒーをがぶ飲みしたり、ネットを切ったりなんとかやりくりしております。

 

 そんな中、ADHDに朗報(?)な論文がございましたのでご紹介します。そうでない人も、計算ミスってどんなものがあるの?と知れる記事になっております。

 2017年論文でして、トロント大学で行われた当調査は14歳から17歳の参加者を募り、医師からADHDの診断を受けたグループ30人とそうでないグループ39人に分けておこなられました。

 IQや両親の教育レベルを調節したのち、いつものようにテストをするわけですが、この論文は「ミスの種類」に着目した調査なのが面白いところ。どういう風にわけたかというと、

 

ミスのタイプ

(a)演算エラー

このタイプのエラーは、操作の符号が異なるミス。

(例えば、5 + 2 = 3または6-2 = 8)

 

(b)基本エラー

計算の基本的なエラー。

(例えば、5×3 = 16)

 

(c)スイッチエラー

前の問題からの計算をまた使用した。

(例えば、4 + 2 = 6,5-3 = 8)

 

(d)ゼロエラー

このタイプのエラーは、演算が0(例えば、5×0 = 1)を含むタイプの基本エラー。

 

この上でさらに一つの問題を3分以内に解くというタイムプレッシャーもかけたそうな。

 これで何が分かったかというと、

 

・テスト全体でADHDとそうでない人の間に統計的に有意な差はなかった。

 

・2つの群の間で作業記憶能力に統計的に有意な差はなかった。

 

 

しかし、ADHDの青少年は流暢生のテスト(p <0.001)でそうでない人よりも有意に低いスコアを示したということが分かりました。流暢生というのは単純な1桁の加算、減算、および乗算を迅速かつランダムな順序で解く能力のこと。百ますみたいなものですね。

 ではなんで全体のスコアに差がないのかというと、

 

・ ADHDの若者5人(17%)と比較して、12人(31%)そうでない学生の方が 演算えらーを犯した。

 

・ADHDでない学生はADHDの若者11人(37%)がスイッチエラーを起こしたのに対し、 ADHDの青少年はわずか4人(10%)しかエラーを生じなかった。

 

 この結果には研究者も驚いたようですが、実際のサンプルが少ない、ADHD、ADD、LDなどの区別がないところから、まだこれから新しいことがわかるかもしれません。

 

 とりあえずは

 

・ADHDの人は単純計算に注意。

 

・そうでない人は四則演算の入ったものや、連続した問題(問1、問2など)で引っかからないか注意。

 

しとくといいでしょう。

 

 

参考

Math Error Types and Correlates in Adolescents with and without Attention Deficit Hyperactivity Disorder. - PubMed - NCBI